医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.10 羊水の役割

院長からの一言

妊娠中は難しいと思いますが、皆さんは普段健康のために何かされていますか? 私はダイエット後、リバウンド予防も兼ね自転車に乗ることを始めました。私は週に一度、超音波診断と指導の目的で順天堂大学本院に行っております。そこで、この通勤を自転車でしよう!と決め、数カ月間お茶ノ水までの12kmを自転車で通っておりました。しかしこれが悲劇の始まりで、それでなくても車に乗るのが少ないところ、唯一車に乗る機会であった大学への通勤を自転車に代えてしまったため、愛車を3カ月放っておく結果になってしまいました。ある日、別の用事で車を使おうとドアロック解除をしようとしたら、車が全くの無反応、何とか中に乗り込みエンジンをかけようとしても、これまた無反応。これはどうしたことかとディーラーに電話したところ、「3カ月も乗らなければバッテリーあがってしまいますよ。」の返事。諦めJAFを呼びエンジンをかけてもらいましたが、「今から最低4-5時間は車に乗って下さい」の一言!「そんな馬鹿な!」と思い1時間乗ってディーラーにとりあえず運び込みエンジンを切ったところ、やはりその後エンジンはかからず!さすがに4-5時間も車に乗る時間もなく、バッテリー交換の運命となりました。高い健康維持費になりました。その後やはり大学は車で通勤にすることにしました。何でも極端はいけませんね!

羊水の役割

羊水は子宮の中で赤ちゃんを守っている大切なお水であるのは皆さんもよくご存じと思います。赤ちゃんはお腹の中で羊水があるお陰で、外から少々強い圧迫があっても影響を受けることもなく過ごすことができ、また赤ちゃん自身も子宮の中で動きやすくなっています。良く経産婦さんから「上の子が乗っかるけど大丈夫ですか?」と聞かれますが、この羊水のお陰で、小さなお子さんが乗った位では赤ちゃんに大きな外傷がおきることは全くありません。羊水は妊娠15週頃よりほぼ赤ちゃんのおしっこになっています。羊水量のピークは妊娠30~32週頃で約800ml位、10か月で約500ml位です。超音波は羊水がないと見えにくくなるので、2回目の胎児ドックを30週前後にさせていただいている一つの理由になります。この羊水!実はもっともっと沢山の大切な役割を持っているのを皆さんご存じでしょうか?赤ちゃんは毎日羊水を飲み、またおしっことして出しています。おしっこを飲むなんて汚いと思ってしまうかもしれませんが、このおしっこを飲むという行為は赤ちゃんの発達の上ですごく重要になります。羊水には成長因子という物質が含まれています。羊水を飲み込むことにより赤ちゃんは成長因子を肺や腸にしみこませているのです。そうすることによって、生まれてからの呼吸や栄養の吸収ができる準備をしています。だから、妊娠の早期に破水をしてしまうと、例えその後の治療で妊娠を維持できても、子宮の中の羊水がない状態で長い間いると、赤ちゃんは体を大きくすることはできても、生まれてから呼吸ができない状態になってしまいます。外から人工的にお水を入れても残念ながら、この成長因子がないため、やはり赤ちゃんの肺や腸は発達しないことも分かっています。当院では20週代の破水を避けたいと思っているのもこのためです。また羊水は赤ちゃんの健康のバロメーターでもあるので10カ月で羊水が減ると胎盤や赤ちゃんの状態が悪くなってきていることを心配していきます。羊水が減るとお産の時、臍の緒の圧迫などが起きやすくなり、帝王切開になる可能性が高くなるので分娩誘発なども検討していきます。毎回健診で赤ちゃんの体重だけでなく、羊水も大切なチェック項目に医師や助産師がしているのはこのためです。  

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