医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.17 骨盤位・代理出産

サクマタ産科ワンポイント解説(骨盤位)

骨盤位つまり逆子について今回はお話をしていきます。逆子が治らない人はどの病院でも5-6%いるとされています。逆子になってしまう理由には胎盤の位置との関係、へその緒との関係、羊水量との関係、子宮の形の関係、母胎の骨盤の形の関係など色々な説があります。「逆子だと心配して大丈夫ですか?」とか「もう逆子にはなりませんか?」など良く質問を受けます。一般的には、妊娠30週頃がポイントの時期になります。この頃に逆子でないと、その後に逆子になる可能性は低いと言えます。妊娠20週前半までは約25%程度の方が逆子ですので、この時期の逆子は全く心配ないことになります。逆に妊娠30週頃に逆子だと最終的に逆子が治らないことが少し心配になるので当院では逆子の体操をお教えしています。最終的に34-35週頃まで治らないと治らない可能性が高くなるので、お産の方法について医師と相談していただくことになります。体操以外に逆子を治す方法として鍼灸や外から医師が赤ちゃんを回す外回転術などがあります。鍼灸治療は赤ちゃんに大きなリスクはないので、やっていただける鍼灸の先生に相談いただけると良いと思います。しかし、外回転術は赤ちゃんにとってはストレスがかかることがありますので、あまり早い時期に行うことは危険とされています。どうしても逆子が治らず適応のある方には医師より説明がありますので、良く説明を聞いて行うかどうかを決めていただくようにしています。

最近の話題(代理出産)

最近、タイで日本人男性が一度に沢山の子供を代理出産させてベビーシッターに養育してもらっている話がテレビ、新聞で話題になりました。現在、代理出産は日本産科婦人科学会では認めておりません。これには代理出産には幾つかの問題があるからです。ひとつは妊娠のリスクです。例えば、もし代理母となる方に妊娠の重篤な合併症が起きて、命を落とすことになったらどうするか。現在でも日本では年間約50名前後の妊婦さんが妊娠をしたことによって亡くなってしまいます。しかも代理母となる候補は子宮を失ってしまった方のお母様やお姉さまのこともあり、年齢が上がるとこのリスクは更に高くなります。また、もし産まれたお子さんに重篤な病気があったり、未熟児で産まれたりして重篤な障害を持つことになったらどうするか。戸籍上どちらが母親となるのかなどなど・・・。不幸にして妊娠前に子宮を取らなければならない病気にかかってしまった方には深刻な問題で、日本でも早く代理出産を認めてもらえるようにして欲しいと思われている方も多いと思いますが、このような倫理的な議論や法律の整備が十分なされないとなかなか日本では認められないのが現状です。現在そのような方への別の治療方法として子宮移植が日本でも検討されるようになりました。しかし、生命の危機におよばない臓器に対して移植手術を認めるかなどのこちらも色々と問題もあるようです。今後も様々な議論していかなければいけない難しい問題ですね。

()
プチ・サクマタ通信へ戻る