医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.21 冷え性・蚊に注意

院長から一言

先日、日本超音波学会に出席するために京都に行ってまいりました。私は京都に行くと必ず買って帰るお土産があります。それは鯖の棒寿司です。祇園にその老舗のお店があり、ちょっとお高いのですが、鯖が肉厚でとても美味しくいつも祇園まで足を運び買って帰ります。このお寿司、お土産で買うと、中に食べ方の説明書が入っています。まず、切ってないので、切ってから食べて下さい。それから巻いてある昆布は外して食べて下さい。そして食べきれない場合は冷蔵庫にしまわないで室温で保存して下さい。2日間はこの状態でも心配ないと書いてあります。皆さん、えっ!て思いませんか?鯖のお寿司を室温で2日間保存しても大丈夫!本当?って気持ちになりますよね。理由はご飯が固くなるからと書いてあるのですが、それより何よりいくら酢でしめてあっても鯖は大丈夫なのかと思いますよね。なぜ腐らず大丈夫か、詳細については私もわかりませんが、実際に2日間お腹も壊さず美味しく食べているので、心配なのは本当なのですが、そのたびに日本の保存食技術のすばらしさを痛感します。そもそも京都の祇園なんて海ははるか遠くです。このお店1781年創業の老舗で冷蔵庫など勿論無い時代からのお店ですから、きっと昔からこの保存方法で作っていたのだと思います。昔、恩師より京都は海まで遠いのでこのような保存食技術が発達したと聞いたことがあります。外国でもチーズだとか、燻製など保存食技術はそれぞれの文化として存在しますが、生の魚を2日間といえども保存して食べられるようにする日本の文化にはいつも関心をさせられて美味しく食べています。もし、皆さんも京都に行く機会ありましたら一度食べて見て下さい。インターネットで「鯖寿司」「祇園」と検索をかけると直ぐにみつけられると思います。

最近の話題-冷え症

女性にとって冷え症は悩みの種のひとつですね。意外に思われるかもしれませんが、実は西洋医学の中にはこの冷え症という概念は全くありません。あくまで東洋医学的な発想の症状になります。つまり、今の西洋医学ではこの冷え症の明確な診断基準はなく、循環改善剤というお薬はあっても冷え症のためのお薬というのは西洋医学には存在しないのです。したがって、冷え症の治療は漢方が中心となります。でも診断基準がないのに漢方といえども医者はどうやってその治療の必要性や薬の選択をするのか気になりますよね。これは患者様の舌の色や舌の裏の血管の怒張の仕方、お腹を触った時の冷え具合、足の冷たさ、顔色、体型などから判断されて薬が選択されます。実際に外来でも手足が冷えて眠れないなどとよく患者様からはお話を聞きます。冷え症の人は寝付きも悪かったり、月経不順の方が冷え症に効果のある漢方薬を服用されると月経不順が良くなることもあります。当院でも漢方の処方は行っておりますが、専門の先生の診察をご希望される方は紹介をさせていただいていますのでご相談下さい。実はこの冷え症は妊婦さんにとっても要注意の症状になります。妊婦さんは特に下半身の冷えは注意が必要です。下半身の血液は下大静脈という大きな静脈にまとめられて心臓に返っていきます。この下大静脈は子宮の後ろを通っているので、下半身が冷えてその血液が冷たくなっていると子宮が冷やされることになります。子宮は筋肉でできているので、冷えると固くなりやすくなります。子宮が硬いと血流も悪くなり赤ちゃんも育ちにくくなります。また、冷え症の人は陣痛もきにくいと言われています。これから暑くなるとついつい素足にサンダルでお出かけになる方も多くなるかと思います。そのような格好でエアコンが強く効いているお部屋に長時間いると知らず知らずの内に下半身が冷えることもあります。素足ででかけられても、靴下を持っていくなど、ちょっとした工夫が大切になります。是非ご注意いただきたいと思います。

<蚊に注意>

最近、テレビとかで騒がれているジカ熱。妊婦さんに感染すると赤ちゃんに小頭症が発症することが心配されている感染症です。昨年話題になったデング熱。こちらは赤ちゃんに影響は与えることは報告されていませんが、妊婦さんがかかると重症化するといわれています。これら全て蚊を媒体として感染をすることは皆さんもご存じかと思います。今年はリオオリンピックが行われます。正にジカ熱の大流行地!ピーク時よりその感染は減少傾向にあると言われていますが、オリンピックを契機に日本にもジカ熱が入ってくるのではないか心配されています。去年のデング熱の発生からも解るとおり、今の国際社会ではウイルスを国内に完全に水際で防ぐのはほぼ不可能と言えます。そこで大切なのは一人一人の予防です。クリニックでも防虫対策は行っていますが、皆さん一人一人で蚊にさされないようにご注意下さい。蚊に刺されないように皆さんが良く使われるのが防虫剤。この防虫剤選びの際にご注意頂きたいのが、入っている成分!妊婦さんはついついユーカリオイルやレモンオイルなどを使ったオーガニック製剤を選びがちになりますが、これは残念ながら持続時間などの点から効果がやや不確実と言われています。選ばれる時はDEETやイカリジンが入っている物を選んで下さい。日焼け止めを使う時は日焼け止めが十分乾いてから防虫剤を塗るのが良いとされています。デングウイルスやジカウイルスを媒介するヒトスジシマカは夜活動するアカイエカと違い、日中に活動し夜に活動が減ります。防蚊対策をしっかりとしてこの夏を乗り切って下さい。

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