医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.33 妊婦さんへのRSワクチン投与について

妊婦さんへのRSワクチン投与について

最近、新生児へのRSウイルス感染予防目的で妊娠中に予防接種を行うことが推奨され始めています。今回はこのことについて少し説明します。

<RSウイルス感染症とは>

そもそもRSウイルス感染症とはどのような病気でしょうか。RSウイルスは呼吸器に感染を起こすウイルスで、症状は軽い風邪症状で済む方もいれば重度の肺炎や気管支炎を発症してしまう人までいます。どの世代の方も感染することがあるウイルスですが、生後6か月以内の赤ちゃんや高齢者の方では重症化することがあるので注意をした方がよいウイルス疾患の一つと考えられています。

<RSウイルスワクチン>

RSウイルスは新生児にとって感染すると怖いウイルスの一つなので、現在、早産で生まれてしまった赤ちゃんや免疫不全になりやすい赤ちゃんでは生後に積極的にワクチン接種をすることが推奨されています。しかし、元気に満期で生まれた赤ちゃんでは心配がないかというとそうでもなく、満期で生まれた赤ちゃんでも生後間もない時期にRSウイルスの感染がおこると、入院治療になることも少なくありません。
そこで、生まれて間もない赤ちゃんをRSウイルス感染症から守るために赤ちゃんがまだお母さんのお腹の中にいるうちにお母さんにワクチンを打って、生れたばかりの赤ちゃんをRSウイルスから守ろうという発想でこのワクチンは開発されました。

<なぜお母さんにワクチンをうつと赤ちゃんの感染予防になるか>

生まれたばかりの赤ちゃんは免疫力が大変弱く、様々なウイルスや菌に弱いので、お母さんには自分が今までかかってきた様々なウイルスや菌の免疫をなるべくお腹の中にいる赤ちゃんに移行させて、生れて直ぐの赤ちゃんを感染症から守ろうとする仕組みが働いています。したがって、お母さんが過去にかかったことのある感染性に対しては生まれたばかりの赤ちゃんはかかりにくくなっています。
今回のワクチンはその体の免疫の仕組みを利用したものになります。妊娠中にお母さんにワクチンを打つことによってお母さんはまず自分の体の中でRSウイルスの免疫を作ります。その免疫が十分できると、次にお母さんはその免疫をお腹の中の赤ちゃんに移行させるので、生れたばかりの赤ちゃんをRSウイルスの感染から予防できる、もしくは例え感染をしても軽症で済ませる可能性が高くするということになるのです。

<どういう妊婦さんがワクチンを打った方がよいのか、いつ打てばよいのか>

どんな赤ちゃんも生後RSウイルス感染にかかる可能性があるので、全ての妊婦さんがワクチンを打った方がよいとはされています。
当院で生まれた赤ちゃんでも過去に退院後ご自宅でRSウイルス感染を起こして小児科に入院してしまった赤ちゃんはいます。これらの赤ちゃんではご兄弟がRSウイルスに感染して、それがうつってしまった例が多く見受けられます。このようなことから私の個人的な意見ですが、特に経産婦さんでは打つことをお勧めします。また、今回のご妊娠で早産のリスクが高いと言われている妊婦さん(子宮の産道が短い、前のお子さんを早産で出産した、子宮の出口を縛る手術を受けた、過去に子宮がん検診でひっかかり子宮の出口の部分の手術を受けたなど)もワクチンを打っておくことをお勧めしています。
ワクチンを打つタイミングですが、分娩になる直前に打ってもお母さんが十分に免疫を作ることができないうちに赤ちゃんが生れてしまうためあまり効果がありません(認可の関係で37週以降は打てなくなります)。とは言えあまり早い時期に打ってしまっては免疫の効果が落ち始めた頃に赤ちゃんが生まれてくる可能性があるのでワクチンを打った効果が薄れてしまいます。このため、当院では妊娠30週から34週頃を目安に打つことをお勧めしています。基本1回接種となります。

<ワクチンの副作用は?>

副作用はアナフィラキシーショックが一番怖い副作用になります。万が一の対応として当院では接種したら30分は院内にいて頂きます。その他筋肉注射なので(コロナワクチンと同じ接種方法です)筋肉痛なども僅かに報告さていますが、このワクチン特有の重篤な副作用はありません。

<公費の補助はあるか>

公費での補助は検討されていますが、現在のところございません。

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