vol.15 アレルギーの原因・輸入感染症に注意
院長からの一言
当院でお産していただく方には全てご加入いただいている産科医療保障制度。すでにご存じかと思いますが、これは万が一お子さんやお母さんに周産期合併症が発生しまい、結果としてお子さんに脳性麻痺のような障害が発生した時に療育の補助が行われる制度で、日本の分娩取り扱い施設の多くが加入をしています。私はその産科医療保障制度の原因分析委員を任命されており、その子が脳性麻痺になってしまった原因を分析するお仕事をお手伝いさせていただいています。その中で最近少し気になった事例がありましたので、皆さんにご紹介させていただき、ご注意いただきたいと思います。それは生まれた赤ちゃんの添い寝、添い寝授乳です。添い寝や添い寝授乳をしている間についお母さんがうたた寝をして赤ちゃん側にお母さんの体が倒れてしまったり、お布団を無意識に引き上げてしまったりして、赤ちゃんの口や鼻がお母さんの体や布団で覆われて窒息してしまうという事故が報告されています。生まれたての赤ちゃんは呼吸が安定しないので、ちょっとの圧迫でも呼吸が苦しくなってしまうことがあります。当院でも添い寝や添い寝授乳は禁止していませんが、病室でお見かけした時はお疲れの際は十分注意していただくようにスタッフからお声かけするようにしています。産後退院された後もご家庭でも十分注意されて下さい。
最近の話題(アレルギーの原因)
お子さんのアレルギーはお母さんにはとっても気になるところです。最近、アトピーの原因として様々なことがわかってきました。まず、妊娠中にお母さんが牛乳や大豆を食べると産まれた赤ちゃんにアレルギーが起こりやすくなると言うことを聞いて控える方がいますが、これは間違いであることがわかっています。したがって、お母さんは赤ちゃんのアレルギーを心配して妊娠中食事を制限する必要はありません。アレルギーやアナフィラキシーは食べ物で起こることが多いのですが、最近の研究では、そのアレルギー形成は食べ物として吸収された物が原因となって起こるより、皮膚から吸収された物が原因となって起こることが多いことがわかってきました。例えば小麦アレルギーのあるお子さんは小麦の入った食事を取り過ぎたことによって起こることより、皮膚から何かしら小麦の成分の入った物質と接触、吸収されたことのよりアレルギーの原因が体にできあがって、結果的に小麦の入った食事が食べられなくなることが多いそうです。つまり皮膚からのアレルギーの元となる物質が吸収されることをいかに防ぐかがアレルギーを予防するためには重要なポイントになります。現在まだ明確な予防方法はありませんが、アレルギーの予防のためには赤ちゃんの皮膚を健全な状態に保ってあげることはとても大切になります。そのような観点からも赤ちゃんの皮膚の保湿はとても重要です。皮膚の保湿を保つ確実な方法はありませんが、当院では少しでも赤ちゃんの皮膚の保湿に努めようと沐浴後の赤ちゃんに保湿剤を使用することを開始しました。ご自宅でも赤ちゃんのデリケートな皮膚ケアも大切にしてあげて下さい!
最近の話題(輸入感染症に注意)
輸入感染症なんて聞き慣れないことばですよね。一番有名なのがインフルエンザです。インフルエンザは現在日本でも冬に流行をしていますが、ここで言う輸入感染症とはいわゆる新型インフルエンザです。それ以外にもマラリア、腸チフス、デング熱などがあげられます。あまり今の日本では関係のない感染症に思えますが、何ヶ月か前にも日本でデング熱の患者が出たことがテレビのニュースで取り上げられていました。先日聞いた順天堂大学熱帯医学寄生虫病学の美田教授のご講演の中でもマラリアやデング熱などは今の日本でも決して安心してはいられない感染症であるとおっしゃっていました。東南アジアの旅行でも蚊からうつることもあるそうです。決してアフリカや南米の病気ではないそうなので、やはり妊娠中の海外旅行はお勧めできないとおっしゃっていました。皆さんも注意して下さい。
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