医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.16 産後の月経

院長からの一言

最近STAP細胞の画像の張り替えコピペ問題や一流ホテルでのメニュー誤表示問題など、あってはならない施設で見栄えのために嘘をつくというような事が平気でやられていたことはとても残念です。STAP細胞の論文では画像の切り貼りが大きな問題の一つになっていますが、論文などでは他の人を納得させる画像や図を作るのは大切なことで、それを切り貼りしたことは大きな問題と思います。私も国立循環器病センターで研修をしていた際に、胎児の心臓病の患者さんをたくさん担当してきました。 その際、自分が診断した心臓病の超音波画像をもってボスに説明しにいくと「おまえの説明はわかるが、その説明をこの写真からは理解できん。直接おまえに話がきけない人が文章や写真をみただけ今のおまえが説明したことを理解できると思うか?撮り直し!」とよく言われ、ふてくされて検査のし直しをしていました。他の分野でもそうだと思いますが、臨床や研究の医学論文などでも発表された論文に説得力不足や嘘があると、それに続く研究にも大きく影響して、場合によってはその研究を大きく後退させることを教えてもらっていたような気がします。STAP細胞の問題も、もしSTAP細胞が本当に存在するなら最初に発表された論文の信憑性に疑問を持たれると、その後の実験、研究がしにくくなったり認められにくくなったりするので、今回の問題は、この研究を大きく後退させたことになります。また日本の研究者の質や評価が世界的に低下してしまうのではないかも心配になります。一流の研究機関である理化学研究所で研究している人が「知らなかった!未熟でした!」なんて言葉で許される事ではないですよね!この問題も早く解決してもらいたいものです。

サクマタ産科ワンポイント解説(産後の月経)

「産後の月経(生理)がいつから再開しますか?」と、良く質問を受けます。そこで今回はこの事について解説をします。月経は鼻の奥にある脳の一部の下垂体という部分から“卵巣を刺激するホルモン”が分泌されることによって起こります。この下垂体という部分は“陣痛を起こすホルモン”や“おっぱいを出すホルモン”も分泌しています。したがって、下垂体は妊娠、出産とはとても関係をしている部分といえます。月経(排卵)と関係があるホルモンは下垂体の前の方から、陣痛やおっぱいを出すホルモンは下垂体の後ろの方から分泌されます。 つまり、後ろ側が一生懸命働いている間は前側の妊娠と関係するホルモンは休憩するようにできているのです。このため出産が終わっても、おっぱいが良く出ているうちは、この下垂体の後ろの部分から“おっぱいを出すホルモン”がたくさん出ているので、前側の妊娠と関係しているホルモンはお休みして月経がこない状態にされているのです。この“おっぱいを出すホルモン”は赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって分泌が盛んになります。だから、出産が終わっても赤ちゃんがおっぱいを吸っているうちは“おっぱいを出すホルモン”が刺激されている状態になるので、下垂体の前側の妊娠と関係するホルモンはなかなか休憩状態から回復してきません。 逆におっぱいを吸う刺激で同じ下垂体の後ろから分泌される“陣痛を起こすホルモン”も刺激されるので、お産直後は子宮が収縮してお腹が痛くなるのです。おっぱいをあげているうちは生理も来にくい理由はこのホルモンの影響によるものです。したがって次の妊娠がご希望で早めに月経を再開させたい場合はまずは断乳ということになります。もちろん完全に断乳をしなければ月経が再開しないわけではなく、赤ちゃんがおっぱいを吸う機会が減ってくれば、徐々に下垂体の前側が働きだすので、排卵は始まる方もいます。しかし、おっぱいの刺激があるうちは月経があっても無排卵になったり不規則であったりすることも多くなります。ただし下垂体の前側のホルモンが働きだすと、まず排卵があってから月経になるので、赤ちゃんがおっぱいを吸う機会が減ってくると排卵が起こり、そのまま一度も生理がないうちに次の妊娠される方もいますので、注意しなければいけません。以上の事より産後に月経が再開しなくて心配な方は以下の状態の時に産婦人科でご相談いただくのが良いと思います。①完全に断乳して3ヶ月しても再開しない。②つわり症状など次の妊娠が疑われるような症状が出てきた場合。
参考にされてみて下さい。

()
プチ・サクマタ通信へ戻る