医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.26 赤ちゃんのうんち

産科ワンポイント解説―赤ちゃんのうんち

排便は毎日あるのが理想ですね。妊娠中は便秘になりがちですから、食事など注意して下さい。今回はそのお母さんの排便についてではなく、赤ちゃんのうんちについて少しお話したいと思います。経産婦さんはご存知と思いますが、赤ちゃんは産まれると最初の1ないし2日間位はタールみたいな色をした粘々したうんちを出します。これを胎便と言います。お腹の中ではミルクを飲んでないのに不思議ですね。この胎便はお腹の中にまだ赤ちゃんがいる時からすでに作られています。妊娠24、25週頃になると赤ちゃんの腸は動くようになります。それとほぼ同じ頃から胎便は作られることもわかっています。したがって、20週の頃の赤ちゃんの腸には超音波でみてもこの胎便はほとんど見られなく、ちょっと白っ ぽい塊にしか見えません。ところが妊娠30 週の 胎児ドックでは超音波でみても大腸にうんちが貯まってきているのがわかるようになってきます。しかし、私たちと違って赤ちゃんはこの胎便を お腹の中にいる時にうんちとして出すことは通常はありません。 それはそれほど赤ちゃんの腸が動いていないのと、肛門の筋肉の反射がまだあまり無いからと説明されています。産まれると肛門の反射も盛んになり、口からミルクが入ってくるので、その刺激で腸も動くようになります。そうすることで、お腹の中で貯まっていた胎便がうんちとして出てきます。この胎便が出きって、なくなった頃になると赤ちゃんのうんちはミルクが吸収された後に作られる少し緑がかった茶色のような黄色のようなうんちへと変わっていきます。ではお腹の中では赤ちゃんはうんちを絶対にしないのでしょうか?実は時々してしまう赤ちゃんもいます。赤ちゃんにストレスがかかったり、あまり長くお腹の中にいたりすると赤ちゃんはお腹の中でもうんちをし易くなると言われています。お腹の中に赤ちゃんがまだいる時に胎便がうんちとしてされても、あまり問題となることはありませんが、あまりにもたくさんしてしまったり、胎盤の機能が悪くなったりすることで羊水の量が減ることが重なったりしてしまうと、羊水が粘々な状態になってしまうことがあります。そのような状態になると赤ちゃんが産まれて泣いた時にこのうんちの混ざった羊水を肺から吐き出せなくなってしまうことがあります。胎便の中には赤ちゃんの肝臓などで作られた消化酵素が入っています。胎便の混ざった粘々の羊水を肺から吐き出せない状態でいると空気が入りにくいだけでなく、肺で炎症が起きてしまうので肺炎のようになってしまうことがあります。これは胎便吸引症候群という病気でNICU で治療しなければならなくなる赤ちゃんも稀にいます。超音波ではお腹の中で赤ちゃんがうんちをして羊水が汚れているかどうかまではわかないので、超音波で羊水が減ってきたことが確認されたり、予定日過ぎてもなかなか陣痛が来なかったりした時は、この病気の予防のためにもお薬を使って分娩誘発を考えることもあります。


赤ちゃんのうんちについてもう一つお話をしておきます。先ほど産まれてからミルクを飲むようになるとうんちの色が胎便の色から茶色や黄色になることはお話しましたが、そうならないで白っぽいうんちが続く赤ちゃんが極めて稀にいます。この茶色や黄色の色は私たちもそうですが、肝臓の酵素が関係しています。したがってうんちが白いという事はこの酵素が出ていない、つまり肝臓から酵素を運ぶ管ができていないかふさがっている可能性もあります。これは生後早いうちに見つけて治療しないといけない病気ですので、早期発見が重要とされています。母子手帳にうんちの色の見本があります。産まれた赤ちゃんのうんちは病院を退院した後も、母子手帳の見本と比較しながら注意してあげて下さい。

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