医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.30 コロナウイルス感染予防

コロナウイルス感染予防

コロナウイルス感染の拡大は私達の生活に大きな変化を与えました。現在ご妊娠中の方も妊婦生活および子育てに大変不安を感じていることと思います。そこで今回は既にテレビ等で専門家の医師が毎日のようにお話をしていることですので、ご存知な方も多いかと思いますが、新型コロナイウイルスと妊娠との関連や感染の予防について(これは新型コロナウイルスに限ったことではなく感染症全般の予防策として)お話したいと思います。
まず妊娠との関連ですが、一般的には妊娠中は免疫力が弱いので妊婦さんは感染症に弱いとされています。現在までの中国からの報告では新型コロナウイルス感染の重症化率は同世代の非妊娠女性と変わりがないと言われています。しかし一方でアメリカからはやはり重症化し易いという報告もあり、まだまだ一定の見解は出ていません。また新型コロナウイルス感染が妊娠中におきても赤ちゃんに障害が出るような病気を起こすことはないとされていますが、妊娠中に母体が重症化すると胎児は低酸素になる可能性があり、緊急帝王切開となる例が多くなるとされています。いずれにしても、怖い感染症であるのは間違いありませんので、感染の予防は非常に大切です。
最近は色々なデータが集まり重症化する患者さんのリスク因子が少しずつわかってきています。喫煙者、基礎疾患がある、高齢者であるということはよく耳にしますが、それ以外でもBMIの高い、太っている人もリスク因子の一つになっていることがわかってきました。発展途上国よりもアメリカやヨーロッパの先進国に流行被害が大きい理由の一つとして考えられています。
さて、新型コロナウイルスは主に唾液や鼻水などから感染することは皆さんご存知かと思いますが、それ以外でも糞便中からも排出されていることがわかっています。したがって、これらの体液などが付着している部分を手で触るとその手にウイルスが付着し、その手で目や口を触るとその粘膜より感染が成立します。また、それらの排出されたウイルスが付着した場所より乾燥などで空気中に浮遊するとそこから感染することがあります。
手や口からの感染の予防にはまずは手洗いが基本です。洗剤を使い指の間、指先、手首まで30秒くらいかけしっかり洗わなければいけません。手を拭くときはできましたら使い捨て紙タオルを使って、蛇口を手で閉めて水を止める場合は、手を拭き終わった紙タオルを蛇口に充てて水を止めるとより良いと思います。手洗いができない場所や手洗いの時間がない時はアルコールが有用です。アルコールは70-80%エタノールが有効となります。当院ではコロナウイルスの流行前からこのアルコールを出産された妊婦さんひとりひとりに携帯用としてお渡ししていますが、できましたら分娩前からご自身で小さな容器にアルコールを入れ携帯することをお勧めします。是非、普段より生まれた赤ちゃんへの感染予防目的だけでなく、外出の際にはお持ちになってご自身の感染予防のために手をまめに消毒して下さい。外出先では絶対に消毒してない手で目や口を擦らないことが大切です。マスクの外側を無造作に触った手で消毒せず目や口を擦っても感染リスクは増しますのでご注意下さい。3密を避けることは勿論ですが、どうしても密集した場所に行かなければならない(電車のラッシュなど)場合は、できるだけ短時間でその場所を移動し、その後すぐに手をアルコールで消毒することが理想です。また自宅に帰られたら直ぐに手洗いを行います。その際の注意は手洗い前に触った室内のドアノブなどに外で付けてしまったウイルスを付けているかもしれないので、そのような家の構造の方は家に入ったら直ぐにアルコールで手を消毒して、それからドアノブを触る方がより安全と思います。手を洗った後に更にアルコール消毒をされる方がいますが、きちんと手が洗えていれば必ずしもその必要はありません。むしろ手の水が十分拭き取られていないとアルコールの濃度が薄くなり、アルコールの消毒効果はなくなってしまいます。
飛沫した体液からの感染を予防するには換気が重要ですので、人混みで換気が十分されていない場所に長居をするのは避けて下さい。
感染予防には以上のような注意が必要ですので、分娩室は患者さんと医療従事者間での感染リスクが大変高くなる場所と言えます。分娩室は密室であり、しかも分娩は大きな声を出し体液が飛び散る可能性もあります。したがって流行拡大時には立会い出産禁止させて頂きました。今後も流行の拡大があると分娩の立会いの制限をさせて頂く可能性はあります。その際は何卒ご理解の程お願いします。

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