医療法人 順桜会 桜台マタニティクリニック

vol.31 出生前検査

院長から一言

久しぶりのサクマタ通信となります。新型コロナウイルス感染の蔓延がおこり3年となります。マスクをしての生活や密を避けての行動も日常化してまいりました。当院でも立ち合い出産中止や外来受診時の付き添い禁止など皆さんに多大なるご理解ご協力を頂き、改めましてお礼を申します。当院も平成19年に開院して15年目になりました。当院で出産したお子さんも既に6000人を超えました。最近は当院で出産したお子さんが中学生になり、子宮頸がんワクチン接種などや生理痛の相談などでお見えになって下さることもあります。産科医として自分が出産に立ち会ったお子さんが大きくなった姿に会えた時はこの上もない嬉しさを感じます。そのようなこともあり、当院は開院以来5年、10年と当院で出産したお子さんをご招待し、光が丘のIMAホールで音楽会を開催しておりました。15年を迎える今年も開催を検討しておりましたが、やはり昨今の新型コロナウイルスの感染状況を考慮して今年は残念ながら開催中止を決定いたしました。新型コロナウイルス感染の蔓延がなくなりましたら、再度開催できたらと思っています。
さて、皆さんはペットを飼われていますか?私事となりますが私の息子が勤務の関係で3年ぶりに実家に戻ってまいりました。その時になんとペットとして飼っていたウサギも一緒につれて帰ってまいりました。私はウサギの事など何も知りませんから、最初糞の始末など清潔にできるのか心配しておりましたが、ウサギは意外と(あくまで私の印象ですが)清潔好きで糞のしつけなどは難しくないそうです。実際に見ているとケージの中のトイレにちゃんとして失敗もしていません。見ていると大人しくてなかなか可愛いものです。犬や猫を飼っている方は多いかと思いますが、ウサギもなかなか癒されるペットになるように思います。しかし、病気になった時は獣医さんでウサギが診ることができる先生少ないようで、獣医探しには苦労してきたようです。どんな動物でもペットとして飼う以上は大切に育てないといけません。毎日新しい命の誕生に立ち会い、その元気な泣き声を聞いていると生まれた赤ちゃんの生きようとする力、命の大切さを常に感じます。子供を車に置き去りにして子供が熱中症になった等の話は勿論論外ですが、ペットでも責任もった飼い方ができず、飼っていたペットを捨てたり逃がしたりする人も世の中にはいるようです。いずれにしても命への無責任な行動をする人は一人もいない社会になってほしいと常に思っております。

産科ワンポイント解説―出生前検査

当院は日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会より認証を受け令和4年10月より順天堂大学医学部附属順天堂医院の連携施設として新型出生前検査(NIPT)を実施できるようになりました。このNIPTを含め、最近出生前検査という言葉を耳にする方も多いと思いますが、そもそもどのような検査を指すのか、お解りにならない方も多いかと思います。折角妊娠して喜んでいたところに突然色々とやってくる情報に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
出生前検査とは妊娠して赤ちゃんが胎児のうちに何か病気などがないかを知るための検査を総称して言います。当院でも開始する新型出生前検査(NIPT)の事も最近ニュース等で話題になることが多いために、胎児期にダウン症候群があるかないかを見つける検査を出生前検査と誤解してしまっている方も多いのではないでしょうか。出生前検査とはNIPTだけではなく、超音波や母体血清マーカー検査、羊水検査などあらゆる検査が含まれてきます。当院はほぼ全ての出生前検査を行うことが可能な施設ですが、今回は少し整理して検査の説明をしたいと思います。まず、出生前検査には侵襲型検査と非侵襲型検査の2種類があります。侵襲とは胎児に何等かのリスクを伴う検査を意味します。侵襲型検査として代表的な検査が羊水検査です。羊水検査は羊水中に針を刺すため0.3%程度の検査に伴う破水や流産リスクを伴いますが、赤ちゃんの染色体異常をほぼ確実に診断できる検査と言えます。一方、非侵襲型検査は当院で行える検査では超音波検査、母体血清マーカー検査(クワトロ検査)、NIPTがこれにあたります。これらは検査により赤ちゃんにリスクを与えることはありませんが、あくまで赤ちゃんの異常を疑う検査ということになります。検査により特徴が違うので簡単に説明をしていきます。まず超音波検査ですが、その主な目的は生後赤ちゃんに治療が必要もしくは治療の必要はなくても定期的に生後小児科医や小児外科医の先生に診て頂いた方がよい赤ちゃんの病気がないかを確認するための検査になります。赤ちゃんの全ての臓器を確認するため検査に時間を要します。このため、当院では20週と30週頃に胎児ドックとして検査を行っています。超音波の検査の中には妊娠11-13週頃に行うNT(胎児後頸部のむくみ)チェックも含まれます。NTが3mm以上あると染色体異常のリスクが同年齢の女性より高いと判断されるため羊水検査をどうするかを検討したり、また心臓病などの胎児の異常の可能性が高くなるため胎児ドックでより詳しく胎児の異常がないか注意して診ていく必要が出てきたりします。クワトロ検査は母体の血中のホルモン値からダウン症候群、18トリソミーの染色体異常や二分脊椎症のリスクを自分個人の数値として算出することができる検査になります。主に羊水検査を悩んでいる人が自分の個人的リスクを知ったうえで検討したい時に受ける検査になります。そしてNIPTは母体血中に出てきている胎児の胎盤の遺伝子の断片を検索して胎児の染色体異常のリスクを調べる検査となります。クワトロ検査よりも高い精度で胎児のダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーのリスクを知ることができますが、検査費用が高額であるデメリットがあります。
どれも検査も利点、欠点があるので検査のご希望がある場合は医師とよく相談して決める必要があります。妊娠するとどんな妊婦さんも赤ちゃんが異常を持って生まれてこないか不安になります。その不安のために受けられる検査は全部受けようと考えてしまう方もいるかと思います。しかし、自分にとってのリスクは何なのか、その検査は自分達カップルにとって本当に必要な検査なのかをちゃんと理解して受けないと検査のためにかえってリスクを負ってしまったり、不安にさせられたり、多額の検査費用を費やしてしまったりします。友達が受けたからとか誰かから受けた方がよいと言われたからという理由でなく、カップルで、必要により医師も交えて十分な話し合いをして検査に臨むことが大変重要になります。検査のご希望、ご質問のある方には通常の外来とは別日に十分な時間をお取りしますので、是非ご相談下さい。

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